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サラさんとらくさんのイスラームとユダヤな世界のコラボレーション! 
by collabo-sarakuda
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サラさんへの返答。
昨日のサラさんからの質問ですが、コメント欄には書ききれそうもなかったので、こちらにまとめました。グリーンの文章はサラさんからの質問です。

ところでいくつか質問があります。

 「最後の審判の日」に、「正しい行いの人は新しい体(スピリチャルなものであって現世でいう体ではない)と共にあの世であるオラム・ハ・バで永遠に生き続けます。」
 とありますが、現世における肉体というのは蘇りの日には関係ないということなのでしょうか?

 イスラームですと、最後の審判の日に霊魂(ナフス)は元の身体で蘇るとされています。もちろん、埋葬された後、肉体は土に還り骨しか残らない、あるいは骨すらばらばらになってしまうわけですが、それでも最後の審判の日には神の力によって、元の肉体が再生されるとされています。これは恐らく、ユダヤで言う「新しい身体」とは違うものなのではないかと思いますが、どうなのでしょう。


これに関しては2つのアプローチがあります。

1; 現世の行いに基づいて審判が下されるので、その行いをしていた現世の肉体を再び得る。

2; 613のミツヴァ(しなければならないこと)とトーラーに忠実に生きることで現世の肉体ではなくスピリチャルな肉体を得る。これはユダヤでも輪廻を信じる派があり、輪廻をくり返すことによって最終的には一体どれが現世での本当の肉体かを決めかねるので、まったく別の形の肉体を得るだろうと考えられています。 


 それからもう一つ。

 死後、生前の行いに応じて、エデンの園にまっすぐ、あるいは洗浄期間をおいて魂が送られる、ということは、最後の審判の日まで、ほとんど全ての魂がエデンの園にいるわけですよね。
 でも、オリーブ山に葬られた人はメシアの到来の時に真っ先に蘇りを果たすことができると考えられているということは、新たな身体をもっての復活は墓地で行われるのでしょうか?
 肉体が葬られた場所というのも最後の審判の日に何らかの影響~いち早く復活を遂げることができるということだけなのか、他にもあるのか~があるということなのでしょうか?これは教理の中でそう述べられているのでしょうか?それとも人々がそう考えている、というくらいのことなのでしょうか?



あ、これはこの前のレポートにはごちゃごちゃしそうなので飛ばしましたが、亡くなった人の魂でもすべてがエデンの園にいけるというわけでもなくて、どうしてもゲヒノアムから抜け出せない魂もあるようです。例えばユダヤでありながら極端な反ユダヤ思想の持ち主であったり、神を冒涜し続けた人の魂はやはり12ヶ月ではどうも洗浄しきれないようで、敗者復活戦には参加できないようです。

ちなみに死者のよみがえりですが、これはユダヤの人だけが復活するのか、または非ユダヤの人にも当てはまるのか。このことも派によってバラバラの解釈です。


オリーブ山ですが、これメシアが黄金門から入るとされているので、その時には黄金門の向かいにあるオリーブ山を通過するだろうから、ここがよみがえりの場所だろうと一般には信じられています。なのでここが優先的だろうと。

そしてオリーブ山ではなく他の場所に埋葬されている人の新しい肉体は土の中を旅してオリーブ山まで来なければならず、他の国の墓地などにオリーブ山の墓地以外に埋葬される時は、亡くなった人の目の上に「迷わずにオリーブ山にたどり着けるように」とオリーブ山の土を乗せて埋葬する習慣があります。でも墓地に埋葬された肉体はよみがえりの肉体ではないので、なぜ土の中を旅してくるのかはよくわからないところですが、ユダヤでは死後の世界のこれといった確信的な考えがまとまっていないように思います。正統派の中でもかなりばらつきがありますね。

 
更にもう一つ。

 メシアが墓を不浄なものと考え…ということですが、ユダヤ教においては、死、死体、墓は不浄なものと考えられていますか?イスラームではムスリムの死や死体は不浄とはされていません。非ムスリムについては、不浄と考える派と、啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教徒。ゾロアスター教徒と仏教徒も第二級啓典の民)は不浄ではないがそれ以外は不浄と考える派とあるようです。図々しくいくつも質問をしてしまいました。ごめんなさい。


サラさん、謝るのはなしですよー。質問がたくさんあるほうがおもしろいでしょ?

ユダヤではユダヤの死体は不浄とされ、非ユダヤの死体は不浄とはされません。墓も同じく。なのでムスリムがメシアが不浄な墓地があるために黄金門にこれないだろうという考えはおかしい。メシアにとっては非ユダヤの墓地は何の意味もありませんもん。

ユダヤの人が亡くなった場合、その死体のある部屋のすべてのもの(机、皿、食器、そこに居合わせた人など)が不浄になります。死体に触れた人も不浄になりますし、墓に行けばその人は不浄になります。

これは神殿があった時代に不浄になった人は神殿には上がってはいけなかったので、何が不浄で不浄ではないかがはっきりと決められ、不浄となった場合には「赤い牛」と呼ばれる牛を焼いた灰で清めました。また神殿に上がらなければならない職にあったコーヘン(現在では非ユダヤの社会ではこれは単なる苗字だと思われていますが、実は聖職者を意味しています)の男性は、死体に触れること、葬式や墓地に行くことは禁止されていました。

でも現在では神殿がないので清める必要もなく、事実上すべてのユダヤの人が不浄の常態にあるわけです。それで現在はユダヤの神殿のあった場所(今は岩のドームの建っていますが)にはユダヤの人は上がれないんですよ。でも先日オリーブ山の墓地に行ったときに「コーヘンの迂回道」のサイン(下の写真)が立っていました。エルサレムでは時々コーヘンが立ち入ってはいけない不浄の場所を迂回させるサインを道端で見ます。神殿がなくなってコーヘンを含むすべてのユダヤの人が不浄であっても、まだコーヘンが不浄になることは避けたいようです。  
サラさんへの返答。_e0037131_154179.jpg


らくだの
by collabo-sarakuda | 2005-08-10 01:16 | 宗教-イスラームとユダヤ
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